
日本自律神経病研究会の終身名誉理事長で、免疫学の医学博士でもあった安保徹先生は「自律神経の乱れが病気を招く」と数々の書籍で述べていました。
そもそも自律神経とはどのようなのなのでしょうか?まずは、自律神経についてみていきましょう。
ホメオスタシス(恒常性)
ホメオスタシス(homeostasis)とは、生物が内部環境を一定の範囲に保ち、外部環境の変化に適応する能力のことを指します。体温、血糖値、pHなどの生理的な状態を一定に保つためにさまざまな調整が行われるプロセスです。
このような機構の中核として神経系、内分泌系、生体防御系が関与しており、これらは相互に情報伝達を行うことによって生体恒常性を維持しています。
具体的な例
- 体温調節:暑いと汗をかいて体温を下げ、寒いと震えて熱を生み出す。
- 血糖値の調整:血糖値が上がるとインスリンが分泌されて下げる。
- pHの維持:血液のpHを常にほぼ7.4に保つ。
生体防御系は、病原体や異常細胞を排除することで体の恒常性(ホメオスタシス)を維持しています。このように、ホメオスタシスは生き物が健康を維持するためにとても重要な機能です。
ホメオスタシスがうまく働かないと健康に問題が生じることがあります。
自律神経とは
生命維持に欠かせない機能を、自分の意思とは関係なく自動的に調節してくれる神経のことで、自律神経はホメオスタシスを維持するために24時間365日休まず働き続けている神経です。
例えば、心臓の鼓動、呼吸、代謝、消化、発汗、血圧の調整、排尿、排便などが自律神経によってコントロールされています。
自律神経の種類
自律神経には、遠心性神経と求心性神経があります
遠心性神経:脳・脊髄の中枢神経から体の各部分へ信号を送る神経で、これには「交感神経」と「副交感神経」があります。
求心性神経:体の各部分から脳・脊髄へ信号を送る神経で、これには「内臓求心性神経」があります。
交感神経
交感神経は、主に「活動・緊張・ストレス時」に優位になる神経です。心拍数を上げたり、血管を収縮させて血圧を上昇させたりすることで、身体を戦闘・逃走状態(いわゆる「戦うか逃げるか」の状態)に適応させます。
- 活動時や緊張しているときに働く神経。
- 心拍数を上げたり、血圧を上げたり、汗をかきやすくしたりする
- 「アクセル」のような役割をする。
副交感神経
副交感神経は、「休息・リラックス・消化」の際に優位になる神経です。交感神経とは反対に、心拍を落ち着かせ、消化器官を活発にするなど、体を回復モードへ導きます。
- リラックスしている時や睡眠時に働く神経。
- 心拍数を下げたり、消化を促進したり、体を休ませる。
- 「ブレーキ」のような役割をする。
内臓求心性神経
内臓求心性神経は、内臓の状態を脳に伝える神経です。
例えば、胃の膨満感や腸の異常、血圧の変化などの情報を感知し、脳へ送ります。この情報をもとに、脳は交感神経や副交感神経を調整し、体のバランスを維持します。
この3つの神経が連携することで、私たちの体は環境の変化に適応し、無意識のうちに健康を維持しています。内臓求心性神経については、鍼灸との関係で詳しくみていきます。まずは交感神経と副交感神経の関係についてみていきましょう。
交感神経と副交感神経の具体的な働き
多くの内臓器官は交感神経と副交感神経の両方に支配されていて、これを二重支配と呼んでいます。例外として、瞳孔散大筋、脾臓、腎臓、副腎髄質、立毛筋、汗腺、大部分の血管は交感神経の単独支配です。ちなみに副交感神経単独支配は瞳孔括約筋と毛様体筋です。
また、交感神経と副交感神経の同一期間に対する作用は互いに相反的で、これを拮抗支配と呼んでいます。
働き | 交感神経(アクセル) | 副交感神経(ブレーキ) |
---|---|---|
心臓 | 心拍数を上げて血流を増やす(運動や緊張時) | 心拍数を下げてリラックス(休憩・睡眠時) |
呼吸 | 速く浅くなる(運動やストレス時) | ゆっくり深くなる(安静時) |
瞳孔 | 拡がる(暗闇で見やすくなる) | 縮まる(明るい場所で目を保護) |
血管 | 収縮し血圧が上がる(活動モード) | 拡張し血圧が下がる(リラックス) |
消化 | 胃腸の働きを抑える(食事中にストレスを感じると消化不良に) | 胃腸を活発にし、消化を促す(食後に眠くなる理由) |
汗 | たくさんかく(緊張・暑いとき) | ほとんどかかない(リラックス時) |
膀胱(ぼうこう) | 排尿を抑える(緊張時にトイレを我慢しやすい) | 排尿を促す(安心するとトイレに行きたくなる) |
自律神経が乱れるとどうなるのか
自律神経が乱れると、体や心にさまざまな不調が現れます。主に交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、以下のような症状が出やすくなります。
1. 身体的な不調
症状 | 具体的な影響 |
---|---|
疲れやすい | しっかり寝ても疲れが取れない |
頭痛やめまい | 血流の乱れで、ズキズキする頭痛やふらつきが起こる |
不眠(寝つきが悪い・眠りが浅い) | 夜になってもリラックスできず、寝てもすぐ目が覚める |
動悸・息苦しさ | ちょっとしたことで心臓がドキドキする |
胃腸の不調(便秘・下痢・胃痛) | ストレスで胃が痛くなったり、お腹が緩くなる |
肩こり・筋肉のこわばり | 常に緊張状態が続くと、首や肩がガチガチになる |
手足の冷え・ほてり | 血流がうまく調整できず、冷えたり異常に熱く感じたりする |
2. 精神的な不調
症状 | 具体的な影響 |
---|---|
イライラしやすい | 些細なことで怒ったり、気分が落ち込みやすくなる |
やる気が出ない(無気力) | 何をするのも面倒に感じ、集中力が続かない |
不安感・緊張が抜けない | いつも心が落ち着かず、理由もなく不安になる |
気分の浮き沈みが激しい | 元気な日と落ち込む日が極端に分かれる |
自律神経の乱れが引き起こす病気
- 自律神経失調症(原因不明の体調不良が続く)
- 過敏性腸症候群(IBS)(ストレスでお腹の調子が乱れる)
- 更年期障害(ホルモンバランスとともに自律神経も乱れる)
- 慢性疲労症候群(常に体がだるく、疲れが抜けない)

交感神経と副交感神経はどちらか一方だけが働けば良いわけではなく、適度に切り替わることが健康のカギとなります。
ストレスが多いと交感神経が過剰に働き、自律神経が乱れてしまうので、リラックスする時間も意識的に作ることが大切になります。
内臓求心性神経と鍼灸
内臓求心性神経とは、内臓からのさまざまな情報を中枢(脳・脊髄)に伝えるものでしたね。
例えば、動脈圧や胃腸、膀胱の伸展・収縮などの機械刺激や血中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、酸やアルカリなどの化学刺激などは内臓求心性神経によって中枢に伝えられます。
これは内臓は自律神経によって反射性に調節されているということです。つまり、意識しなくても、自律神経が自動的に内臓の働きを調節してくれているという意味です。
そして、自律神経が関与する反射には以下の3種類があります。
内臓ー内臓反射
1つの内臓からの刺激が自律神経を介して別の内臓の働きに影響を与える反射のことです。
例1:胃-心臓反射
胃の不調(胃炎や胃潰瘍)が起きると、心拍数が増え、動悸や胸の痛みを感じることがあります。
→ これは迷走神経(副交感神経)を通じて、胃の刺激が心臓に影響を与えているためです。
例2:膀胱-腸反射
尿意を我慢している時に、腸の動きが促進されてお腹がゴロゴロすることがあります。
→ 膀胱と腸は骨盤神経を介してつながっているため、このような反応が起こります。
例3:腸-心臓反射
便秘が続いて腸内にガスがたまると、お腹の張りが強くなり、同時に心臓の動悸を感じることがあります。
→ 腸からの刺激が自律神経を介して心臓に伝わってしまうためです。
体性ー内臓反射
皮膚や筋肉(体性神経)への刺激が自律神経を介して内臓の働きに影響を与える反射のことです。
例1:背中や腰を冷やすとお腹が痛くなる
寒い場所で背中や腰を冷やすと、交感神経が刺激されて腸の動きが低下し、消化不良や腹痛を引き起こすことがあります。(寒冷刺激による腸の異常収縮)
例2:足湯でリラックスして胃腸の調子が良くなる
足を温めると、副交感神経が優位になり、リラックスするとともに胃腸の動きが活発になりやすい。これは、足の刺激が自律神経を通じて内臓に影響を与えているためです。
例3:肩こりがひどいと胃の調子が悪くなる
肩や背中の筋肉がこると、その部分の神経が刺激されて、胃の働きが低下することがあります。これは、交感神経が過度に働いて胃の消化機能を抑制してしまうためです。
他には、寒冷環境で皮膚血管が収縮して体の熱の放散を防いだり、光刺激によって縮瞳が起こる対光反射や味覚刺激によって起こる唾液分泌もこの反射の例です。
鍼灸は、皮膚や筋に機械刺激や温熱刺激などの体性刺激を加えることで、内臓機能の失調を改善する物理療法の一つと考えられているので、鍼灸による治療効果はこの体性ー内臓反射が大きく関与していると言われています。
内臓ー体性反射
内臓の異常や刺激が、筋肉や皮膚(体性神経)に影響を与える反射のことです。内臓の情報が脳や脊髄を通じて筋肉や皮膚に伝わり、痛みや緊張が生じるために起こります。
例1:胃の不調で背中が痛くなる(胃-背中の反射)
胃炎や胃潰瘍があると、その情報が脊髄を通じて背中の筋肉を緊張させ、背中が痛くなることがあります。
→ 「胃の調子が悪いのに、背中が張る・痛む」と感じるのがこの反射です。
例2:心臓が悪いと左腕や顎が痛くなる(心臓-左腕の反射)
心筋梗塞や狭心症のとき、左腕や顎に痛みが広がることがあります(放散痛)。
→ 「心臓が悪いのに、左腕や顎が痛い」と感じるのがこの反射です。
例3:肝臓・胆のうが悪いと右肩が痛くなる(肝臓-右肩の反射)
胆石や肝炎などがあると、右肩や右の背中に痛みや違和感が出ることがあります。
→ 「肝臓や胆のうの異常なのに、右肩がこる・重くなる」のがこの反射です。
例4:腎臓の異常で腰が痛くなる(腎臓-腰の反射)
腎結石や腎盂炎などがあると、腰のあたりに鈍い痛みを感じることがあります。
→ 「腎臓の問題なのに、腰がだるい・痛む」となるのがこの反射です。
例5:生理痛で腰が重くなる(子宮-腰の反射)
生理痛や子宮の異常があると、骨盤周りの筋肉が影響を受け、腰の重さや痛みを感じることがあります。
→ 「子宮や卵巣の不調なのに、腰がつらい」のがこの反射です。
鍼灸治療では、これらの内臓ー体性反射による筋緊張や硬結などの状態を触診して診察に用いています。

次は、鍼灸が自律神経に及ぼす影響を具体的にみていきましょう!
心拍数・血圧と鍼
鍼灸は高血圧や動悸などの循環器症状を緩和すると言われています。
動脈血圧の低下
鍼刺激は動脈血圧を低下させることがわかっています。
麻酔ラットの体表のさまざまな部位に鍼刺激を行うと、腎臓を支配する交感神経活動(腎交感神経活動)が抑制され、動脈血圧が低下する。これらの低下は皮膚への鍼刺激では観察されず、筋の鍼刺激のみで観察される。鍼刺激による動脈血圧の低下には、筋への刺激が必要であることが分かる。
『はりきゅう理論 第3版』 医道の日本社
心拍数の低下
鍼刺激によって心拍数も低下させることがわかっています。
麻酔ラットの体表のさまざまな部位に鍼刺激を行うと、心臓を支配する交感神経活動(心臓交感神経活動)が抑制され、心拍数は減少する。この鍼刺激による心拍数の減少反応は、(中略)上脊髄性の体性ー内臓反射であることが示されている。鍼刺激による心拍数の減少は、ヒトにおいても報告されており、この場合、交感神経の抑制のみならず、副交感神経の亢進も関与すると報告されている。
『はりきゅう理論 第3版』 医道の日本社
消化器系と鍼
鍼治療が、悪心・嘔吐、胃食道逆流症、機能性胃腸症、便秘や下痢、過敏性腸症候群の改善に効果があると言われています。
消化器運動
これも麻酔をしたラットを使った実験で、腹部の皮膚をブラシやピンセットで刺激すると胃の活動が低下し、ラットの前足や後足を刺激すると胃の活動が活発になったという実験結果があります。
この後ろ足の刺激による胃運動の亢進は、上脊髄性の体性ー内臓反射によるもので、腹部刺激による胃運動の抑制は、脊髄性の体性ー内臓反射によるものと考えられています。
また、ヒトを対象とした研究でも、腹部の鍼刺激が胃の運動を抑制したとの結果があります。
胃酸分泌
胃酸分泌に関しては、鍼刺激は胃酸分泌を亢進したり、抑制したりするようです。
状況や刺激部位によって異なるようで、ヒトを対象とした研究では、下肢への鍼刺激が胃酸分泌を促進させ、体幹部と下肢への刺激は胃酸分泌を抑制させるとの結果があったり、十二指腸潰瘍患者では、腹部や下肢へ鍼通電を行うことで、胃酸分泌量の低下と腹部症状の緩和が得られたという報告もあるようです。
刺鍼する部位によって交感神経が優位になったり、副交感神経が優位になったりするのはなぜなのでしょうか?
その訳は、下記の図にあります。
お腹などの体幹部の刺激は、交感神経を通って胃などの臓器に到達し、手足に受けた刺激は、副交感神経を通って胃などの臓器に到達します。

『はりきゅう理論 第3版』 医道の日本社より
つまり、上半身(胸部や腹部)は交感神経を刺激しやすく、頸部や下半身は副交感神経を刺激しやすいと言えます。
体性ー内臓反射のメカニズム
鍼の刺激は体性ー内臓反射を引き起こし、自律神経に影響を与えることがわかりました。では、次にそのメカニズムについてみていきましょう。
体性-内臓反射は、脊髄を介した神経のネットワークを通じて起こります。
1. 体性感覚の入力(刺激の受容)
皮膚や筋肉に鍼灸刺激を加えると、皮膚・筋肉にある侵害受容器(痛みセンサーや圧・振動・温度のセンサー) が反応し、この刺激情報はAδ線維(痛み)やC線維(鈍い痛み・温度)を通って脊髄後角に入力される。

2. 脊髄での情報処理(シナプス連絡)
脊髄内でシナプスを介して連絡し、内臓に関連する自律神経ニューロンへ伝達。これにより、体性感覚の刺激が交感神経・副交感神経の働きに影響を与え、内臓の機能が変化する。
3. 内臓の自律神経(交感神経・副交感神経)が反応
交感神経が興奮すると → 血管収縮・心拍数増加・胃腸の働き低下などが起こる。
副交感神経が興奮すると → 血管拡張・心拍数低下・胃腸の働き促進などが起こる。
鍼灸は 交感神経を抑制し、副交感神経を優位にする ことで、血圧を下げたり、内臓の機能を改善する。
4. 内臓の機能変化(反射の効果)
脊髄を介した自律神経の調節によって、刺激を受けた体性感覚が特定の内臓機能を変化させる。
鍼灸が自律神経に良いその他の理由
鍼灸刺激が「体性ー内臓反射」というメカニズムによって自律神経を整えることは理解しました。ただ、鍼灸施術が自律神経に効果的な理由は他にもあると考えられます。
視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)への影響
HPA軸の詳細については前回のブログ「痛みと鍼灸ーなぜ鍼灸は効くのかー」をご覧ください。
HPA軸(Hypothalamic-Pituitary-Adrenal axis)は、視床下部(Hypothalamus)-下垂体(Pituitary gland)-副腎(Adrenal glands)の3つの器官が連携してストレス応答やホルモン調節を行うシステムのことです。
HPA軸は主にストレス時に活性化され、ストレスに体を適応させるためにコルチゾールというストレスホルモンを分泌します。
HPA軸は一時的なストレスに対処するためなら体に有効に働きますが、過剰なストレスを受け続け、HPA軸がずっと活性化したままの状態が続くと、コルチゾールの分泌が慢性的に高くなり、糖尿病や肥満などの生活習慣病、不眠症やうつ病などの精神疾患などの一因となり、逆に体には負の影響が及びます。
しかし、鍼灸はHPA軸を調整し、コルチゾール(ストレスホルモン)を抑制する効果があります。これにより、ストレスが軽減し、自律神経のバランスが整うとされています。
内因性オピオイドの分泌
内因性オピオイドとは、体内で自然に作られる「天然モルヒネ」と言われており、痛みの抑制・ストレス応答・快楽・感情調節などに関与する神経伝達物質の一種です。
具体的な物質としてはβ-エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィンがあります。
鍼刺激により、β-エンドルフィンやエンケファリンなどの「脳内鎮痛物質」が分泌され、これにより、ストレス軽減・リラックス作用・自律神経の調整が起こるとされています。
脳波と鍼灸
鍼灸の施術を受けると、リラックス効果やストレス軽減効果があり、脳波のパターンが変化することが研究で示されています。
1. アルファ波(α波)の増加 → リラックス効果
- 鍼刺激を受けると、アルファ波(8~14 Hz)が増加することが確認されています。
- アルファ波は「リラックス」「ストレス軽減」「集中力向上」に関与します。
- 研究では、百会(ひゃくえ)・神庭(しんてい)・合谷(ごうこく)などのツボ刺激がα波の増加を促すと報告されています。
2. ベータ波(β波)の抑制 → ストレス軽減
- 緊張やストレス状態では、ベータ波(14~30 Hz)が優位になります。
- 鍼灸は交感神経の活動を抑制し、ベータ波を減少させる作用があるとされています。
- これにより、神経の興奮が落ち着き、不安やストレスが軽減します。
3. シータ波(θ波)の増加 → 深いリラックス&瞑想状態
- 鍼刺激によって、シータ波(4~8 Hz)が増加することも報告されています。
- シータ波は、瞑想・創造的な思考・リラクゼーションと関連します。
- 安眠やストレス回復に関与し、特に不眠症の改善に有効とされます。
4. デルタ波(δ波)の増加 → 睡眠の質向上
- 鍼灸によって深いリラクゼーションが促されると、デルタ波(0.5~4 Hz)が増加することがあるようです。
- デルタ波は深い睡眠時に優位になる波で、脳の疲労回復や成長ホルモン分泌を促進します。
- 不眠症の改善や睡眠の質向上に寄与します。
鍼灸の刺激によって、脳波(特にα波・θ波・δ波)が変化し、リラックス・ストレス軽減・睡眠改善につながり、ストレス状態ではβ波が優位になりますが、鍼灸によって抑制されることがわかっています。
このことから、鍼灸は「脳波を整える=自律神経を整える」手段の一つであると言えます。

鍼灸施術が自律神経に効果的なのは、体性ー内臓反射による内臓器官への影響、内因性オピオイドの分泌、ストレスホルモンの抑制、そしてリラクゼーション効果など、いろいろなメカニズムが一緒に作用することで自律神経を整えているのですね!!
自律神経を整える方法
鍼灸施術によって自律神経が整うことはわかりましたが、やはり健康の基本は日々の生活習慣です。いくら鍼灸施術をしても、昼夜逆転の生活をしていたり、偏食をしたりしては健康は保たれません。
以下のこと気をつけて、自律神経を整えていきましょう!
- 規則正しい生活(早寝早起き・食事の時間を整える)
- 適度な運動(ウォーキングやストレッチで血流をよくする)
- 深呼吸やリラックス(副交感神経を優位にする)
- ぬるめのお風呂に入る(38~40℃でリラックス効果UP)
- スマホやPCの見すぎに注意(特に寝る前は避ける)
- ストレスをためない(好きなことをする時間を作る)

いかがでしたか?規則正しい生活をしているのに、なかなか体調が改善しないという人は、是非、鍼灸施術を受けてみてください!
ところで、自律神経とは関係のない話になりますが、鍼灸効果の科学的な理解というものは動物実験を通して解明されており、論文の中には猫を使った実験もあったりして、猫を飼っている私としては複雑な気持ちになりました。
命を犠牲にしてまで解明する必要ってあるのだろうか?と思ったりもしました。
携帯電話だって、ラジオだって、目に見えない電波によって使えているのでしょうが、私は厳密に理解してそれらを使用してはいません。
鍼を刺せば症状が治る・・・。お灸を据えれば健康になる・・・。
確かに不思議なことだから理解したい気持ちもわかりますが、「治る、健康になる・・・」その事実があれば良いのではないか?と考えてしまいました。
多くの命の犠牲の上に現代医学の進歩があり、私もその恩恵に預かっているのは重々承知の上ですが、命を犠牲にした鍼灸治療の解明は必要ないと思いました。
動画
上記の内容を簡潔にまとめた動画があります。こちらも是非、ご視聴ください!