![momo](https://jkbsou.com/wp-content/uploads/2021/05/178D416A-55E8-4B5B-B6B8-71B08890CD99_4_5005_c.jpeg)
こんにちは。
以前、耳鳴りについてご質問を頂いていたので返信をしたのですが
どうしてもメールが返ってきてしまい返答できませんでした。
その後もとある試験を受けるために受験勉強をしたり
入院をしていたり・・・と
ご質問を受けてからかなりの時間が経ってしまいましたが
今回は「耳鳴り」について
ブログでお伝えしていこうと思います!
耳鳴りとは
外界に音源がないのに聴覚が生じることをいう。一側性と両側性があり、高音から低音までさまざまで、大部分は自覚的なものである。
鍼灸医学辞典
要するに、外界の音とは別の音が自分だけに聞こえているということですよね。
実は私も慢性的な耳鳴りを感じていて、常に左耳が「キーーーーン」と鳴っています。
シーンとした静かなところでない限りあまり気にならないのですが、
静かな場所では気になることもあります。
慢性的なもの以外にも、時々高音のキーンというものや低音のジーンという音がする時もあって、
この場合は数秒で消えていきます。
でもこれは自分にしかわからない音ですよね。
原因
原因としては、急・慢性の中耳炎、内耳炎、メニエル症、高血圧症、動脈硬化症、老人性難聴など。また、中毒、騒音などによってもおこる。的確な治療法はない。
鍼灸医学辞典
耳鳴りがある人の多くは、難聴、めまい、耳閉感などの耳症状を伴っており、耳疾患による耳鳴りが多いです。
また、耳疾患以外にも上記に挙げたような高・低血圧症、脳血管障害、貧血、糖尿病、甲状腺腫などの全身疾患や自律神経系や精神的な要因などによっても生じることがあります。
はっきりとした原因がわかっていないことが多いので、的確な治療法もないようです。
東洋医学的な考え方
肝火上炎による耳鳴り
情志失調により肝鬱気滞となって気機が鬱結し、それが肝火と化し肝火上昇を引き起こします。
肝の気は上昇する性質があります。(肝の働きについては東洋医学で見る「肝臓」の働き〜判断力・蔵血・筋・爪・目・涙〜をご覧ください。)
動画もご視聴ください。
ですから、感情のコントロールができないと、気がうまく流れなくなり上昇しすぎて耳に影響を及ぼし耳鳴りが起こります。
肝火上炎によって耳鳴り以外にも、頭痛、面紅目赤、イライラ、突発性難聴などが現れることもあります。
痰火による耳鳴り
食生活の乱れや考え過ぎや過労などによって脾胃が損傷し、運化機能(飲食物を消化して全身に送る働き)が低下して体内に水湿が停滞することで「痰」が生じます。
ここでいう「痰」とは、喉の奥から出てくる「痰」だけを意味しているのではなく、粘膜の異常分泌物のうち粘りのあるものを総称して「痰」と言っており、水毒に属する病邪の一つです。
そして、この「痰」が長期にわたって改善されないと火邪と結びついて「痰火」となり、耳を塞ぎ、耳鳴りや難聴を引き起こします。
脾胃虚弱による耳鳴り
過労や食生活の乱れにより脾胃を損傷して脾胃虚弱になると気血の生成がうまく行われなくなるので、
経脈に栄養が行かず、同時に耳も栄養されなくなってしまい耳鳴りが起こります。
腎精不足による耳鳴り
以前、このブログでも記事にしました『東洋医学で見る「腎臓」の働き』にも書いてありますが、
腎は耳に開竅しており、腎の異常は耳に反映されます。
また、「耳は腎に属して、竅は少陽に開く、会の三陽の間に通ず、腎に預かり、脳を貫く、故に腎虚する時は耳聾して鳴る」と『鍼灸重宝記』には書いてあり、
つまり、腎の働きが弱ったり衰えていくと耳が聞こえづらくなり、耳鳴りもするということです。
腎精が不足する原因としては、
先天的なもの、栄養の吸収不良によるもの、高齢や慢性疾患によるもの、
房事(性行為)過多によるものがあります。
これらによって髄海(脳)が空虚になると耳鳴りが起こります。
鍼灸治療で治るのか?
鍼灸の主な対象は「無難聴性耳鳴」です。
「無難聴性耳鳴」とは耳鳴りはあるけれど、聴力障害がないものをいいます。
症状としては、自覚的な聴力の低下はなく、耳鳴りのみ訴えているものです。
耳鳴りの自覚的な表現としては「キーン」「ジーン」が多いです。
また、首や肩の凝り、後頭部の重圧感を伴うことも多く、
疲労、睡眠不足、精神的興奮により耳鳴りが悪化していることもあります。
最近では耳鳴りを専門に治療している鍼灸院もあるようです。
ネットで「耳鳴り 専門 治療院 ご自分が住んでいる地域名」で検索すると色々な治療院が出てきますので、
そこからご自分に合った鍼灸治療院を探して行ってみてください!
耳鳴りに効果的なツボ
耳鳴りには主に実証タイプ(気が旺盛な人)と虚証タイプ(正気が不足している人)があります。
実証タイプ
このタイプは東洋医学的な考え方でいう「肝火上炎」と「痰火」による耳鳴りです。
症状としては、耳鳴り、めまい、うつ状態、イライラ、怒りやすい、頭痛、顔面紅潮などが現れます。
このようなタイプの人は以下のツボを使います。
翳風(えいふう)
耳たぶの裏の陥凹部
![](https://jkbsou.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG_5954.jpg)
風池(ふうち)
胸鎖乳突筋と僧帽筋の間の陥凹部にあります
![](https://jkbsou.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG_5953.jpg)
太衝(たいしょう)
足の親指とその隣の指の間を撫で上げていった時に止まる場所
![](https://jkbsou.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG_5956.jpg)
虚証タイプ
このタイプは東洋医学的な考え方でいう「脾胃虚弱」と「腎精不足」による耳鳴りです。
症状としては、耳鳴り、めまい、疲れやすい、知能減退、健忘、腰と膝の痛みと無力感、動作緩慢などです。
このようなタイプの人は以下のツボを使います。
腎兪
第2腰椎から親指1・5本分横。左右にあります。
![](https://jkbsou.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG_5957.jpg)
太渓
内くるぶしのてっぺんとアキレス腱の間
復溜
太渓から親指2本分上でアキレス腱の前縁
照海
内くるぶしのてっぺんから親指1本分下
![](https://jkbsou.com/wp-content/uploads/2022/10/36906394-5EFE-4A9C-A9B6-8E9D664BA418_1_201_a.jpeg)
その他のツボ
耳とつながりのある経脈の経穴を用いることができます。
後渓(こうけい)
手を握った時に小指の根元にポコッと出てくる所
陽谷(ようこく)
小指側の手首の陥凹部
![](https://jkbsou.com/wp-content/uploads/2022/10/CB05FFDC-C4E6-449C-85FE-D1215F38DC9A.jpeg)
聴宮
口を少し開けた時に耳珠(耳の穴の前にある出っぱり)にできる陥凹部
耳門
口を開けた時、耳珠上の切痕前方にできる陥凹部
聴会
聴宮の下方で口を開けた時にできる陥凹部
![](https://jkbsou.com/wp-content/uploads/2022/10/09D16DFD-39E2-4259-8B84-715650A5247A.jpeg)
これらのツボを指で軽く押して刺激をしてあげると良いです。
耳ツボ
耳鳴りに効く耳ツボです。
青字と青く囲っているところです。
上から、腎・外耳・枕・内耳に印がついています。
![](https://jkbsou.com/wp-content/uploads/2022/10/2795E4F3-A83A-4875-9868-EFB3BC33362E.jpeg)
耳ツボのやり方はこちらをご覧ください。
アドバイス
東洋医学的に耳鳴りは、腎精不足・脾胃の虚弱・肝火上炎が原因として考えられるので、
規則正しい生活をして心身を疲れさせないようにし、
栄養になるものをしっかり食べて、よく寝ることです。
そして、運動をしたり、気分転換をするなどして、
ストレスを溜め込まず適度に発散させます。
怒りや過度な感情で心身を左右されないように、
常に気持ちを穏やかにさせておくことです。
現代の生活環境でストレスを溜め込まずに生活するということはなかなか難しいことですが、
そのために心身の緊張をほぐせる鍼灸院を探してみたり、
時には何もしないでボーッと過ごす時間を設けてみたり、
心身がリラックスできるような何かを見つけてみるのも良いと思います。
きっとこれは耳鳴りに限らず、全ての心身の症状に必要なことですね!
あとは耳鳴りについての本もいくつも出ていて、
中には耳鳴りに効果のある体操やマッサージなども載っていたりするので、
試してみるのも良いかと思います。