正経十二経脈
「経絡」とは気血の通り道のことで、経絡の中でも主体となっているのが『正経十二経脈』です。
まずは、その正経十二経脈の流れから見ていきましょう。
気血は経絡を通って、昼夜、身体中を巡っています。
その気血は中焦で作られ、一番最初に送り込まれるのが肺経です。
気血は肺から全身を巡って、また肺に戻っていきます。
今回は11番目と12番目の経脈である『胆経』と『肝経』についてみていきます!
胆経の流注
「流注」とは経脈の流れのことを言います。
足の少陽胆経は、手の少陽三焦経の脈気を受けて外眼角にある瞳子髎から起こり、上って三焦経の糸竹空を過ぎて頭角に至り、頷厭・懸顱・懸釐に下り、耳上の曲鬢・率谷・天衝・浮白・頭竅陰を経て、乳様突起後際の完骨に至ります。
完骨より上前方に折れて、耳後ろを上り、耳上の三焦経の角孫を過ぎ、頭角の本神に至ります。
本神を経て膀胱経の曲差を過ぎ、下って陽白を経て、膀胱経の睛明に会います。睛明から上行して頭部にある頭臨泣・目窓・正営・承霊・脳空を経て風池に至ります。
風池から頸部をめぐって三焦経の天牖を過ぎ、三焦経の前を下って肩上の肩井に至ります。それより後方に行き督脈の大椎をめぐり、ここで左右相交わります。更に、膀胱経の大杼を過ぎて小腸経の秉風に交わって前に行き、大鎖骨上窩の胃経の欠盆の外に入ります。
風池から分かれた支脈は三焦経の翳風を経て耳の中に入り、小腸経の聴宮をめぐって耳前の聴会に行き、それより一つは上関を経て懸釐に入り、一つは直ちに瞳子髎に入ります。外眼角より分かれた支脈は、胃経の大迎に下り、三焦経の顴髎に会い、目の下に至り、大迎から胃経の頬車に行って、前頸部に下って胃経の欠盆で合流して、胸中に至り、横隔膜を貫いて肝を絡い、胆経の日月において胆に属します。
日月から脇裏を経て肝経の章門をめぐり、下行して鼠径部にある胃経の気衝に行き、股関節部を通って環跳に入ります。
本経は欠盆から腋窩に下り、淵腋・輒筋を経て側胸部をめぐって日月に合流し、更に季肋部の京門をめぐり、側腹部の帯脈・五枢・維道・居髎を通ります。
居髎から膀胱経の上髎・次髎・中髎・下髎の八髎の穴をめぐり、督脈の長強に入り、それより環跳に行って支脈と合流し、下行して大腿外側部にある風市・中瀆・膝陽関をめぐり陽陵泉に至ります。それより、腓骨を下り、陽交・外丘・光明・陽輔・懸鍾を通ります。
懸鍾から下って外踝の前の丘墟に出て、足背の足臨泣・地五会をめぐって、第4・5指の間の侠渓に入り、第4趾の外側端の足竅陰で終わります
また、足臨泣から支脈が出て、母趾と第2趾との間に入って母趾の端に出て、還って爪甲を貫いて母趾の爪根の後方に出て、肝経の大敦に交わります。
肝経の流注
足の厥陰肝経は胆経の脈気を受けて足の第1趾外側端の大敦から始まり、足背を上って行間・太衝を通り、内踝の前の中封に行きます。
内踝の前を通って脾経の三陰交と交わり、下腿前内側の蠡溝・中都を上り、内踝の上8寸のところで脾経と交わります。
脾経と交わった後に膝窩内側にある膝関・曲泉を経て、股の内側をめぐり、陰包・五里・陰廉を過ぎ、鼠径部を上行して脾経の衝門・府舎を経て、再び下行して毛中に入り、生殖器をめぐって下腹に入り、任脈の曲骨に会い、中極・関元を経て上行し、季肋部の章門を経て胃を挟み、期門のところで肝に属し、胆経の日月のところで胆を絡います。
更に期門より横隔膜を貫いて季肋に広がり食道・気管・咽頭の後方をめぐります。
喉頭の後方から額に入り、上って目系(眼球・視神経)に連なり、なお上って顱に出て、督脈の百会と交わります。目系から分かれた支脈は頬の裏に下り、唇の内側をめぐります。
肝から分かれた支脈は、期門から分かれて横隔膜を貫き、上って肺の中に注ぎ、下行して中焦に至り、ここで一番最初の肺経とつながります。
胆経の病証
胆経が病むと次のような症状が現れることがあります。
口が苦い、よくため息をつく、側胸部が痛くて寝返りができない、顔色がくすむ、肌がカサカサして艶がない、足外側のほてり、頸の腫れ、足の第4趾の麻痺など
肝経の病証
肝経が病むと次のような症状が現れることがあります。
腰痛で体を倒したり反らすことができない、睾丸が腫れて痛む、女性は下腹部が腫れて腰が痛む、顔色がすすけて青黒くなる、胸のふさが理、嘔吐、不消化便の下痢、尿漏れ、小便が出ないなど
胆経の経穴(ツボ)
「経穴」とは一般的に「ツボ」と呼ばれているもののことです。
胆経の経穴は全部で44穴あります。その中のいくつかの経穴をご紹介します。
瞳子髎(どうしりょう)
【位置】
外眼角の外方0.5寸の陥凹部
【効果】
結膜炎、視力減退、眼球の痛み、頭痛、目赤など
【注意】
顔に鍼をすることはあっても、基本的に顔にはお灸はしません。指で押して刺激してください。
風池(ふうち)
【位置】
前頸部、後頭骨の下方、胸鎖乳突筋と僧帽筋の起始部の間の陥凹部
【効果】
頭痛、偏頭痛、風邪、鼻炎、蓄膿症、視力減退、乱視、めまい、脳梗塞、眼科疾患など
陽陵泉(ようりょうせん)
【位置】
下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部
【効果】
筋肉の病を主ります。坐骨神経痛・腓骨神経痛または麻痺、小児麻痺、腰痛、かっけ、内臓出血の止血の特効穴です、顔面麻痺など
肝経の経穴
肝経の経穴は全部で14穴あります。その中のいくつかをご紹介します。
太衝(たいしょう)・中封(ちゅうほう)
【位置】
太衝:足背で第1・2中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部で、足背動脈拍動部
中封:足関節前内側、前脛骨筋腱内側の陥凹部、内踝尖の前方
【効果】
太衝:肝臓疾患を主ります。母趾の麻痺、足底痛、頭痛、めまい、咽部の痛み、月経不順など
中封:足関節炎、リウマチ、痛風、突発性腰痛、胃酸過多症、胆石症、神経症など
曲泉(きょくせん)
【位置】
膝内側、半腱様・半膜様筋腱内側の陥凹部、膝窩横紋の内側端
【効果】
膝関節炎、膝関節リウマチ、尿道炎・膀胱炎による頻尿と尿道痛をとる、腹膜炎、子宮内膜炎、陰部の痒みなど
動画
上記の内容を動画にまとめたものもありますので、そちらもご視聴ください。
流注は動画の方がとても分かりやすいと思います!
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