皆さんは「肩こり」を感じますか?
肩を使う言葉に
「肩の荷が下りる」(責任や負担から解放される)
「肩を並べる」(実力や地位が同等である)
「肩を貸す」(援助する、助ける、支える)
「肩を落とす」(がっかりしたり、落ち込んだりする様子)などなど
「肩」には、責任・人との関係性・感情などを象徴して使われることが多いです。
もしかしたら「肩こり」というものは、単に体の不調から起こっているものではなく、皆さん自身の「責任・人間関係・感情」などとも関係しているのかもしれません。
今回は、肩こりの原因や要因と危険な肩こりについてお伝えした後に、肩こりが訴えている潜在意識からのメッセージと肩こりの対策について述べていきたいと思います!
「肩こり」とは
頸部,肩背部などのこり感をいう。不快なこり感とともに頸部,肩背部などの筋緊張,硬結を伴い,激しいときは鈍痛をともなう。筋肉の過度使用,疲労の蓄積,不自然な体位,精神的緊張の連続などによっておこる。
『鍼灸医学辞典』医道の日本社
原因
何らかの要因で筋肉が過度に緊張し動きが悪くなり、筋肉によるポンプ運動が低下することで、血液やリンパの流れも悪くなり、これによって筋肉に酸素や栄養が行き渡らず、筋肉が硬くなることで起こります。
要因
肩こりになる要因として、次のようなことが考えられます。
1. 筋肉の過度な使い過ぎ
筋肉の使い過ぎにより疲労物質が蓄積し、筋肉が緊張して硬直します。この状態で血流が悪化し、酸素や栄養が不足、老廃物が排出されにくくなるため、肩こりを引き起こします。
2. 睡眠不足や疲労の蓄積
睡眠不足や疲労の蓄積は、筋肉の回復を妨げて緊張状態を持続させ、血流が悪化します。これにより酸素不足や老廃物の蓄積が起こり、肩こりを引き起こします。
3. 長時間の同じ姿勢や不自然な体位
長時間の同じ姿勢や不自然な体位は、筋肉に過度な緊張や負担を与え、血行が悪くなり、酸素や栄養が十分に供給されず、筋肉が硬直し肩こりを引き起こします。
4. 精神的緊張の連続やストレス
精神的緊張やストレスは、自律神経を乱し、筋肉を収縮させる交感神経が過剰に働くため、筋肉が硬直しやすくなります。これが血行不良を招き、肩こりを引き起こします。
5. 眼精疲労
目が疲れてくると、目の周囲や首・肩の筋肉が緊張して、血流が悪くなります。その結果、筋肉も硬直して肩こりを引き起こします。
6. 食べ過ぎ
毎日お腹いっぱい食べる人は、胃腸が常に活動しています。そうすると内臓が疲労して機能が低下し、胃腸を動かす筋肉も緊張し始めます。その緊張で付近にある脊柱起立筋が硬直し、その影響で僧帽筋や肩甲挙筋も硬直し、慢性的な肩こりになります。
7. 手・指の疲労
手の筋肉は各々連携して動いていて疲れやすくなっています。パソコンや家事などで手首から先の筋肉を使い過ぎると、疲れた手指を前腕がフォローし、前腕が疲れると今度は上腕がフォローします。そうすると、肩から腕全体が疲労し硬直しはじめ、その硬直が肩全体にいき肩こりとなります。
8. 服装
ハイネックの服、マフラー、肩幅の狭い服などは体の動きが制限されるので、その結果血流が悪くなり、肩や首が凝ってしまいます。
9. 食べ物や香り
チョコレートは血糖値を乱行化させることがあり、その結果、頭痛や動悸・体のだるさなどが起こり、中には肩こりを訴える人もいます。
コーヒーのカフェインは交感神経の闘争・逃走反応を刺激します。これによって体は常に緊張状態となって、筋肉が強張り、肩こりを引き起こすことがあります。
香りによっても肩こりが引き起こされることがあります。化学的な理屈は分かりませんが、何かしらの芳香成分が血流を悪くさせて、筋肉の緊張を引き起こして肩が凝るのかもしれません。
ちなみに私は食べ物や香りで肩が凝ることが多いです。
10. ストレートネックや猫背
ストレートネックや猫背についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
ストレートネックや猫背は首や肩の筋肉に過剰な負担をかけ、筋肉が緊張して硬直します。また、姿勢の崩れで血流が悪化し、酸素や栄養不足と老廃物の蓄積が進むため、肩こりを引き起こします。
危険な肩こり
単に「肩こり」と言っても、時には危険な肩こりもあるので注意しましょう。
肩こりの他に以下の症状がある場合はすぐに病院で診てもらいましょう。
1. 首や肩に急激な痛みが突然生じる
動脈乖離や心筋梗塞の場合があります。
2. 胸部の圧迫感や腕の痛みがある
狭心症や心筋梗塞の場合があります。
3. いつもの肩こりと違う
肩こりの他に何かしらの症状や違和感がある場合、例えば肩こりと同時に背部に違和感があるなどは、ガンの可能性もあります。
4. 片側の腕や手の筋肉低下や痺れ
脳梗塞や脳出血などが疑われます。
5. 熱や腫れがある
感染症や炎症性疾患が考えらえます。
6. 痛みが増加する
特定の動作で痛みが激しく増加する場合は、肩関節の障害や頚椎ヘルニアなどが原因の可能性があります。
7. 症状が悪化する
数日経っても症状が改善せず、どんどん悪化していく場合は、ガンなどの病気かもしれません。
とにかく、肩こりと同時に肩以外の場所に痛みや違和感がある場合、いつもの肩こりと何かが違うと感じる場合、症状が悪化していく場合など、これらのことがある場合は、すぐに病院に行ってみてもらって下さい。
次は、「肩こり」を潜在意識の視点からみていきたいと思います。
その前に、そもそも潜在意識って何なのでしょうか?
潜在意識とは
人の意識はよく上の絵のような氷山の一角に例えらます。海に浮かぶ氷山の海面に出ている部分はわずかでも、目に見えない海面下にはそれ以上の氷があります。
人の意識もこれと同じように、私たちが日常的に自覚できる思考や感情・知覚など、私たちがコントロールできる部分を顕在意識といい、これは意識全体の約5%だと言われています。
つまり、人は自覚している5%の顕在意識よりも、自覚できていない95%の潜在意識の方から、大きな影響を受けているということです。
残りの95%は潜在意識と呼ばれていて、無意識的な記憶・感情・動機・信念・習慣などを含み、普段の意識では気づかない形で私たちの思考や行動に影響を与えていると言われています。
潜在意識の主な特徴
- 無意識のプロセス
潜在意識は、過去の経験や記憶・感情・学習などが蓄積されている場所とされます。これらは通常、意識的に思い出すことができませんが、行動や反応の中で表れることがあります。 - 自動化された行動の源
習慣や反射的な行動、例えば自転車に乗ることやタイピングのようなスキルは、潜在意識によって管理されています。 - 感情や信念に影響
自分では気づかない信念や価値観・偏見・恐れなどが潜在意識に根付いている場合があります。これらが意思決定や対人関係に影響を及ぼすことがあります。 - 夢や直感との関係
潜在意識は夢や直感とも深く関わっているとされます。夢の中で表れる象徴やメッセージ、また「直感」と呼ばれる即座の判断は潜在意識の働きと関連付けられます。
私たちが体験しているこの現実は全て、自分の潜在意識がつくっていると言われています。そう考えた時に「肩こり」というものも何かしらの意味があって現れていると思いました。
次は、潜在意識が訴える「肩こり」からのメッセージについて考えていきたいと思います。
「肩こり」の潜在意識からのメッセージ
1. 感情の抑圧や解放の必要性
肩こりは抑え込んだ感情や言えない思いを抱え込むことで現れると言われています。特に、人に頼れなかったり、本音を言えない状態が続いている可能性があります。
また、過去の出来事や感情を手放せず、心の中で引きずっていることを象徴している場合もあります。特に、後悔や罪悪感、未解決の問題が影響していることがあります。
ストレスや不安、怒りなどの感情を内に閉じ込めていると、体に緊張として現れることがあります。
メッセージ:「自分の気持ちに正直になり感情を解放しよう」「過去を受け入れ今ここに集中しよう」
2. 責任の重さやプレッシャー
肩は「責任」や「負担」を象徴する部分とされることが多く、「肩に重荷を背負っている」状態を象徴すると言われています。肩こりはあなたが人間関係や仕事、家庭などで多くの責任を背負い過ぎていたり、無理をして抱え込んでいることのサインかもしれません。
メッセージ:「もっと他の人に頼ってもいいよ。」「負担を減らす方法を見つけよう。」
3. 休息の必要性
忙しい日々を過ごしていると「休むことは悪い」と無意識に感じ、無理をし続けることがあります。肩こりは体が過労状態にある時の警告信号でもあります。無理をせず自分を労わりましょう。
メッセージ:「自分自身を大切にし、休む時間を確保して。」「立ち止まり休むべき時だ。」
4. 心と体のバランス
肩こりは日常生活で「やるべきこと」と「やりたいこと」のバランスが崩れていることを現していることがあります。仕事や義務感ばかりに集中し、本来の自分の願望や楽しみを犠牲にしている可能性があります。
メッセージ:「本当の自分の声を聞き、優先順位を見直そう。」「自分が本当に望むことに向き合おう。」
5. 過剰な自己要求
「もっと頑張らなければ。」「もっと良い結果を出さなければ。」とプレッシャーや完璧主義の傾向が肩こりを引き起こしていることがあります。自分自身に対して厳しすぎる態度が潜在意識に影響しているのかもしれません。
メッセージ:「自分に優しくして完璧を求めるのをやめよう。」
6. 外部の影響
肩こりは人間関係や環境からのネガティブな影響を無意識に受けとめていることを示す場合があります。他人の期待や評価に敏感になり過ぎているのかもしれません。
メッセージ:「自分の境界線を守り、他人の影響を切り離そう。」
対策方法
基本的には上記でお伝えした、肩こりの原因となる要因を避けて生活することです。でも、肩こりになってしまった場合は以下のことをしてみて下さい。
1. 適度な運動
運動をすると筋肉が収縮・弛緩を繰り返すため、血流が促進されます。これにより、筋肉に溜まった老廃物や疲労物質(乳酸など)が排出され、酸素や栄養が供給されて、筋肉が柔らかくなります。
また、運動をすると、エンドルフィンと呼ばれる幸福感をもたらすホルモンが分泌され、ストレス解消の効果も期待できます。そして、副交感神経が活性化されるため、筋肉の緊張が緩和します。
オススメなのはスワイショウという氣功です。
スワイショウ(甩手)は、氣功の一種でリラックスと氣の巡りを促進する簡単な動作です。以下の手順で行います。
- 姿勢を整える:足を肩幅に開き、膝を軽く曲げてリラックスした立ち姿勢を取ります。背筋を伸ばし、顎を軽く引きます。
- 腕を振る:両腕を力を抜いて体の横で自然に振ります。腕が前後に揺れるように、肩の力を完全に抜いて動かしてください。
- 呼吸を意識:腕の動きに合わせて自然な腹式呼吸を行い、リズムを作ります。
- リラックス:全身の緊張を解き、心を穏やかに保ちながら一定のリズムで腕を振り続けます。
- 時間:5〜10分を目安に行い、無理のない範囲で続けます。
シンプルでリラックス効果が高いため、初心者にも適しています。
2. 入浴
温かいお湯に浸かると、体温が上がり、血管が拡張します。これにより、血流が良くなり、肩や首の筋肉に溜まった老廃物や疲労物質(乳酸など)が排出されやすくなります。また、筋肉に十分な酸素や栄養が供給され、硬くなった筋肉がほぐれます。
また、温かいお湯は筋肉の緊張を緩める効果があります。特に肩や首の筋肉が硬直している場合、入浴による温熱刺激が筋肉をリラックスさせ、肩こりの症状を軽減します。特に、アロマオイルや入浴剤を使用するとさらにリラックス効果が高まり、肩こりの緩和に役立ちます。
3. 睡眠
睡眠中は、身体がリラックスした状態になり、筋肉が休息と修復を行います。特に深い睡眠(ノンレム睡眠)では成長ホルモンが分泌され、損傷した筋肉や組織の回復が促されます。また、睡眠不足はストレスを増加させ、肩こりを悪化させる要因になります。十分な睡眠をとることでストレスが軽減し、肩こりの改善につながります。
質の良い睡眠をとるためにも、寝具を自分に合ったものに変えるのも良いかもしれません。
4. マッサージ
マッサージは、筋肉をほぐして血流を促進し、老廃物の排出を助けることで肩こりを改善します。また、筋肉の緊張を緩和し、リラックス効果で自律神経を整えるため、痛みや不快感を軽減します。さらに、筋肉のバランスを整えて姿勢改善もサポートします。
5. 鍼灸
鍼灸は、ツボや筋肉に鍼やお灸で刺激を与えることで、血流を促進し、筋肉の緊張やコリを緩和します。また、神経系を刺激して痛みを和らげるホルモン(エンドルフィン)を分泌させる効果があります。さらに、自律神経を整え、肩こりの原因となるストレスや体の不調を改善します。
ここで肩こりに効果的な経穴(ツボ)をいくつかご紹介します。
合谷(ごうこく):大腸経の経穴
合谷は「万能ツボ」とも呼ばれており、日常的に活用できる便利なツボです。
頭痛や歯痛、生理痛など、様々な痛みを緩和する効果があります。特に頭部や顔面の痛みに効果が高いとされています。また、自律神経を整える働きがあり、精神的なストレスや不安、緊張を和らげる効果も期待できます。さらに、血流を促進し、肩こりや首のこりを改善させます。
肩井(けんせい):胆経の経穴
肩井は第7頚椎棘突起と肩峰外縁中央との中点に取ります。
肩井は肩こりをほぐすのに非常に効果的なツボです。特に、慢性的な肩こりや筋肉の緊張を緩和するのに役立ちます。また、首や肩の緊張を和らげることで緊張性頭痛や眼精疲労の症状を改善します。
天柱(てんちゅう):膀胱経の経穴
天柱は後頸部の第2頚椎棘突起上縁と同じ高さで、僧帽筋外縁の陥凹部に取ります。
天柱は首の筋肉の緊張をほぐし、肩こりや首のこりを和らげる効果があります。天柱を刺激することで自律神経が整い、ストレスの軽減やリラクス効果が期待できます。
6. 耳ツボ
耳には全身の反射区が集中しており、特定のツボを刺激することで肩や首の緊張を緩和し、血流を促進します。また、耳ツボ刺激は自律神経を整え、ストレスを軽減する効果もあるため、肩こりの根本的な原因にアプローチできます。
耳ツボについてはこちらのブログをご覧ください。
7. 葛根湯
葛根湯は血行を促進し、筋肉の緊張を緩和する働きがあります。特に、葛根湯に含まれる「葛根」は、肩や首の筋肉のこりをほぐし、体を温めて血流を改善します。また、冷えや初期の風邪症状が原因で起こる肩こりにも有効とされています。
8. ジャーナリング
ジャーナリングとは、自分の考えや感情、体験などを自由に書き出す自己表現や内省のための方法です。日記と似ていますが、目的は問題解決や感情整理、自己成長に焦点を当てることが多いです。特別なルールはなく、思いついたまま書いていきます。
身体の症状は、心と深い結びつきを持つことがあります。肩こりをきっかけに、自分の内面と向き合うことで、より豊かな心身のバランスを築けるかもしれません。
いかがでしたか?
「肩こり」からのメッセージは受け取れましたか?
肩こりについて動画でも説明しています。もし良ければ、動画も見てみてください!