
土用
土用とは?
土用は正式には「土旺用事(どおうようじ)」と言います。
- 「土旺」:土の気が旺(さか)ん=土の力が最も強くなる
- 「用事」:用いること、事を行うこと=その力が作用する期間
つまり「土旺用事」とは
「土の氣が最も強く作用する時期」という意味です。
これが後に簡略化されて「土用」という言葉に定着しました。
土用(どよう)は、古代中国の陰陽五行説に基づいて日本に伝わった暦の考え方で、季節の“隙間時間”つまり「季節の変わり目」のことです。
「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の直前の約18日間が「移行期間」である「土用」です。
古代中国や日本では、土は作物・住居・命の根源とされ、その土に神様(=土公神様)が宿るとされていました。
四季にそれぞれある土用
1年のうちに 4回 あり、それぞれ以下のように対応しています。
季節 | 土用の時期 | 例(2025年) |
---|---|---|
春土用 | 春→夏の切り替え (4月中旬〜5月初め) | 4/17~5/4頃 |
夏土用 | 夏→秋の切り替え (7月中旬〜8月初め) | 7/19~8/6頃 |
秋土用 | 秋→冬の切り替え (10月中旬〜11月初め) | 10/20~11/7頃 |
冬土用 | 冬→春の切り替え (1月中旬〜2月初め) | 1/17~2/3頃 |
土用に起こりやすいこと
1. 体調を崩しやすい
- 季節の変わり目で気温・湿度が不安定。
- 自律神経が乱れ、疲れやすくなる。
- 食欲不振、だるさ、不眠、風邪などが出やすい。
2. 気持ちが不安定になりやすい
- イライラする。
- やる気が起きない。
- 理由もなく気持ちが落ち着かない。
- 何もないのに落ち込む。
3. その他
- 怪我をしやすい。
- 突発的な事故や事件が起きやすい。
- 普段やらないようなミスをする。

「土用」の期間に、上記のようなことが起こりやすいことに先人達は気付き、暦の中に「土用」を取り入れ、意識して生活することで「土用」を乗り切ろうとしたのかもしれませんね。
暦
土用をより理解するために、暦について少し詳しくみていきましょう。
二十四節気(にじゅうしせっき)
二十四節気は古代中国の戦国時代(紀元前770年〜前221年)に考案され、漢の時代に完成されたとされています。

太陽が黄道上を動く様子(太陽黄経)をもとに、1年を24等分して各時期に名前をつけたものです。日本には平安時代に伝わり、農業や生活の目安として日本でも長く使われてきました。
特徴:
- 1年を24等分し、約15日ごとに1つの節気があります。
- 太陽の黄道上の位置(太陽黄経)を基準にしています。
- 季節感や自然の変化を表す名前が多いです。
節気名 | 読み方 | 意味・季節感 |
---|---|---|
立春 | りっしゅん | 春の始まり(2月4日頃) |
春分 | しゅんぶん | 昼と夜がほぼ同じ(3月21日頃) |
立夏 | りっか | 夏の始まり(5月6日頃) |
夏至 | げし | 昼が最も長い(6月21日頃) |
立秋 | りっしゅう | 秋の始まり(8月8日頃) |
秋分 | しゅうぶん | 昼と夜がほぼ同じ(9月23日頃) |
立冬 | りっとう | 冬の始まり(11月7日頃) |
冬至 | とうじ | 夜が最も長い(12月22日頃) |
七十二候(しちじゅうにこう)
二十四節気をさらに細かく約5日ごとに3つずつ分けた季節の区切りで、動植物の変化や気象の特徴など自然の変化をとても繊細に表現しています。
例えば:立春
- 初候:東風解凍(はるかぜこおりをとく)→ 春風が吹いて氷が解け始める。
- 次候:黄鶯睍睆(うぐいすなく)→ ウグイスが鳴き始める。
- 末候:魚上氷(うおこおりをいずる)→ 魚が氷の割れ目から現れる。
雑節(ざっせつ)
雑節は日本独自に作られ「実際の生活に根ざした」季節の指標です。節分・彼岸・八十八夜・土用など、日常生活や農業に密接に関係する実用的な季節の目印です。
「土用」はこの雑節の一つです!
名称 | 時期 | 意味・風習 |
---|---|---|
節分(せつぶん) | 2月3日頃 | 季節の変わり目(立春の前日)。豆まきで厄を払う。 |
彼岸(ひがん) | 春分・秋分を中心とする7日間 | 先祖供養の時期。墓参り、ぼたもち(春)、おはぎ(秋)を食べる。 |
社日(しゃにち) | 春社(春分に最も近い戊の日)秋社(秋分に最も近い戊の日) | 産土神を祀る日。 |
八十八夜(はちじゅうはちや) | 5月2日頃 | 立春から88日目。霜の心配がなく、新茶の摘み取り開始。 |
入梅(にゅうばい) | 6月10日頃 | 梅雨入りを示す目安。湿気対策や食中毒予防が重要。 |
半夏生(はんげしょう) | 7月2日頃 | 夏至から11日目。田植えを終える目安の日。 |
土用(どよう) | 各季節の変わり目 | 「土の氣」が盛ん。旬のものを食べる。 |
二百十日(にひゃくとおか) | 9月1日頃 | 台風が来やすい時期。農作物の被害に注意。 |
二百二十日(にひゃくはつか) | 9月11日頃 | 同上。収穫期の備えとして重要。 |
なぜ「土」なのか?
五行説
五行説では、五行(木・火・土・金・水)それぞれに季節が割り当てられています。
五行説とは、万物は木・火・土・金・水の5つの要素から成り立っているとする考え方で、逆を言うと万物はこの5つに分類できるとも言えます。
季節を五行で分類すると・・・
- 木 → 春
- 火 → 夏
- 金 → 秋
- 水 → 冬
- 土 → 季節の変わり目(土用)
「土」は五行の中でも中庸で、他のすべてを支える役割があり、季節の「切り替え期間」に使われています。季節と季節の“つなぎ”として、全体のバランスを保つ重要な存在とされているのですね。
つまり、土は「安定」や「変化の間」のエネルギーとされ、季節の移り変わりを整える役割を持っていると考えられています。
五行 | 対応する季節 | 役割 |
---|---|---|
木 | 春 | 生長・発展 |
火 | 夏 | 成熟・発熱 |
土 | 土用(各季節の境目) | 変化・安定 |
金 | 秋 | 収穫・整理 |
水 | 冬 | 蓄え・沈静 |
東洋医学での「土用」の重要性

土用は体がとてもデリケートになる時期で、体調を崩しやすい時期でもあります。
体調を崩しやすい理由
- 季節の変わり目で気温・湿度・気圧の変化が激しくなりやすい。
- 内臓も変化に対応しようとして疲れやすくなる。
特に、五行で「土」は「脾胃」にあたるので、土用の時期は脾胃などの消化器系に問題が起こりやすくなり、食欲不振・下痢・むくみなどが起きやすくなります。
土用期間の注意点
「土用」は土の神が支配する時期で、土の神様「土公神(どこうしん)」が地中にいるとされ、“土”の氣が強まる時期です。ですから、以下のような行為を避けるべきとされます。
- 土を掘る、動かす(建築、庭いじり、引っ越しなど)
- 新しいことを始める(結婚、開業・開店)
- 墓を建てる・改修する
- 土地の工事やリフォーム
- 旅行(特に長距離)、無理な遠出(移動)
ただし、「間日(まび)」という土公神が留守の日は例外とされます。
間日(まび)とは?
間日は「土公神がお休みして留守にしている日」のことで、間日だけは土いじりなどはOKとされています。
土用ごとの間日(例)
土用の種類 | 間日の干支 |
---|---|
春土用 | 巳(み)・午(うま)・酉(とり)の日 |
夏土用 | 卯(う)・辰(たつ)・申(さる)の日 |
秋土用 | 未(み)・酉(とり)・亥(い)の日 |
冬土用 | 寅(とら)・卯(う)・巳(み)の日 |
土用の過ごし方
昔は農耕中心の生活だったので、土用は体を休めたり、次の季節に備える「調整期間」でした。
現代は、心と体を休めたり、メンテナンスをする時期だと思っていてください!
土用におすすめの過ごし方
- 栄養をつける。(旬のものを食べる)
- 過労を避け、早寝早起きをする。
- 無理なチャレンジ・新しい契約などは避けて、保守モードにする。
- 身体のメンテナンスをする。(漢方、マッサージ、入浴など)
土用のまとめ
土用は、単なる風習ではなく、先人から授けられた「季節の調整期間」を上手に意識するための知恵と捉えていきましょう!
- 自然との調和
- 自分を見つめ直すタイミング
- 無理をせず、流れに身を任せる感覚 など
忙しい現代こそ、土用のような「切り替えの儀式」があってもいいのかもしれません。

実は開運法として、土用の時期は新しい靴か綺麗な靴を履くといいようですよ!
土用の時期は土の神様が敏感になっている時なので、そんな時に汚い靴を履いていると運気が落ちるのだとか・・・。
だから、土用の時期は綺麗な靴を履いて、良い運気を取り入れて下さい!
春に起こりやすい不調
春は、冬にためていたものが一気に外に出ようとする「陽氣の立ち上がり」で不調になりやすい季節です。また、春は「万物が芽吹き、伸びる」季節でもあって、体の中では“肝氣”が活性化するのが特徴です!
ですから、春の時期に感情を抑えすぎたりして氣の巡りが悪くなり、氣が滞ると以下のような不調が起こってしまいます。
イライラ・怒りっぽい・情緒不安定
肝は「怒」の感情をつかさどっており、春は肝が活発になる季節なので感情も高ぶりやすくなります。ですから、ストレスなどで感情を抑圧すると、肝の疏泄が乱れて気が滞り、更にイライラして、ため息が出たり、怒りっぽくなるという悪循環が生じます。
頭痛・のぼせ・めまい
春は“陽氣が上昇する”季節なので、体の氣も上にのぼりやすくなります。肝の氣が上に偏ってしまうと、頭部に熱がこもり、頭痛・のぼせ・めまいが起こりやすくなります。
目の疲れ・充血・乾燥
肝は「目に開竅(かいきょう)する」と言われており、目の健康と直結しています。目は肝に蓄えられている血によって栄養され機能しているので、肝血が不足すると目が乾いたり、目がしょぼしょぼしたり、目の不調が現れます。
生理不順・PMSの悪化
肝は「血を蔵す」と言われています。春の肝の乱れは、ホルモン・月経リズムにも影響しやすいので、イライラ、PMS、月経前の胸張り、経血の不調などが出やすくなります。
筋肉のこわばり・関節の違和
肝は「筋を主る」とも言われており、筋肉・腱のスムーズな動きに関係しています。春先の寒暖差と肝氣のアンバランスで、筋肉がつりやすい・こわばる・ピキッと痛むことがあります。

春はただでさえ体調不良になりやすい時期なのに、更に「土用」が重なると不安ですね。
そこで、春の土用の過ごし方とオススメ食材をご紹介します!
春の土用の過ごし方
土用は「脾胃」と深く関係していて、体がとてもデリケートになる時期で、体調を崩しやすい時期でもあると前述しましたね!
土用の期間は体調不良だけではなく、色々な面で不調になりやすいです。
例えば、普段やらないようなミスをしたり、怪我や事故に遭いやすかったり、気分的にも落ち込みやすかったりと氣が乱れやすい時期でもあります。
それでは、春の土用はどのように過ごすと良いのでしょうか?
やるといいこと(春夏秋冬の土用に共通)
- 暴飲暴食を避け、胃腸にやさしい食事にする。
- 睡眠をしっかりとって、無理をしない。
- 土を掘る・家を建てる・引っ越しなどの「土いじり」は避ける。
春の土用に食べると良い物
これらのものは、春の土用の「戌の日」に食べてください!
1)白い食べ物
春は「木」のエネルギーが強く出る季節で、そのエネルギーが強すぎることで氣が乱れたり、不調になると考えられるので、五行説の視点で考えると、木を剋する「金」のエネルギーを取り入れることで「木」のエネルギーを鎮めることができます。

五行説で「金」に属している五色は「白」です。ですから、「白い食べ物」を食べると良いと言われています。
例えば:ヨーグルト、かぶ、大根、ホワイトアスパラなど
2)「い」のつく食べ物
十二支を五行で分けると「土」に当たるのが「辰・未・戌・丑」になります。
- 春から夏の境目=辰
- 夏から秋の境目=未
- 秋から冬の境目=戌
- 冬から春の境目=丑
十二支 | 五行 | 陰陽 | 方位 | 季節 | 時間帯(参考) |
---|---|---|---|---|---|
子(ね) | 水 | 陽 | 北(壬子) | 冬(真冬) | 23:00〜01:00 |
丑(うし) | 土 | 陰 | 北北東(癸丑) | 冬〜春の境目 | 01:00〜03:00 |
寅(とら) | 木 | 陽 | 東北東(甲寅) | 春の始まり | 03:00〜05:00 |
卯(う) | 木 | 陰 | 東(乙卯) | 春(真春) | 05:00〜07:00 |
辰(たつ) | 土 | 陽 | 東南東(戊辰) | 春〜夏の境目 | 07:00〜09:00 |
巳(み) | 火 | 陰 | 南南東(己巳) | 初夏(立夏) | 09:00〜11:00 |
午(うま) | 火 | 陽 | 南(丙午) | 夏(真夏) | 11:00〜13:00 |
未(ひつじ) | 土 | 陰 | 南南西(丁未) | 夏〜秋の境目 | 13:00〜15:00 |
申(さる) | 金 | 陽 | 西南西(庚申) | 秋の始まり | 15:00〜17:00 |
酉(とり) | 金 | 陰 | 西(辛酉) | 秋(真秋) | 17:00〜19:00 |
戌(いぬ) | 土 | 陽 | 西北西(戊戌) | 秋〜冬の境目 | 19:00〜21:00 |
亥(い) | 水 | 陰 | 北北西(壬亥) | 初冬(立冬) | 21:00〜23:00 |
そして、春の土用(春から夏の境目)のエネルギーに対極する秋の土用(秋から冬の境目)の「戌」のエネルギーを取り入れることで春の土用エネルギーを鎮めようと昔の人は考えたようです。
ですから、春の土用は戌(いぬ)の「い」からとってきて「いのつく食べ物」を食べて春の土用を乗り切りましょうと言われています。
「い」のつく食べ物は
例えば:いんげん、イワシ、いちご、いも、いくら、イカ などなど

いかがでしたか?
春は体調不良になりやすい季節で、更に土用が重なると心身ともに不調になりやすく、いろいろなことがうまくいかなくなったり、思い通りにいかないことも起こりやすくなります。
そんな時は全てを「土用」のせいにして、自分の心身を守ってください。
あなたは悪くない、全ては「土用」が悪い!
春はそれくらい、前向きな方が春のエネルギーに合っていると思います。
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