陰陽論

東洋医学
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この図を見たことがあるかと思いますが、これは「陰陽太極図」と言われるもので「陰陽」を表すものです。


黒が陰を意味し、白が陽を意味しています。
黒の中にある丸い白は陰の中の陽を表し、白の中にある丸い黒は陽の中の陰を表しています。
陽極まって陰となり、陰極まって陽となる。
まさにこの図のことなのです。


今回はこの陰陽論について説明していきます。

陰陽の概念

古代中国では宇宙の始まりから万物が生じるまでを下記ようにとらえています。


「宇宙の始まりにはまだ形も何も無く混沌とした広がりがただあるのみだった。その混沌とした広がりの中から気が生まれ、その気が陽気と陰気に分かれ、陽気が天となり陰気が地となった。天地の陰陽から四季が生まれ、それによって万物が生じた。」


そして、中国最古の医学書である『黄帝内経』素問の陰陽応象大論篇では、

陰陽は
天地の道理であり、万物の網紀であり、変化の父母であり、生殺の本始であり、
神明の府(自然界全ての神秘が存在するところ)であり、病の治療にはこの根本原則を追求しなければならない
とあります。


つまり、宇宙いっさいの事物の生長発展と消滅は、全て陰陽の変化の法則により動いているということです。

陰陽の相互対立と相互統一

この世の全ては陰陽に分けることができると言われています。
例えば、男性は陽で女性は陰、上が陽で下が陰、左が陽で右が陰、昼は陽で夜は陰、火は陽で水は陰など、あげればきりがありません。

これらは一見、対立する二つのものが陰陽に分かれているかのように見えますが、
中国の古代の思想家たちは、いかなるもの全ては対立すると同時に統一のある陰と陽の二つの面を持っていると考えました。


陰陽が対立し統一しているということは、相互に対立し、相互に依存しているということであり、一方だけで単独に存在することはあり得ません。
例えば、右は陰、左は陽ですが、右がなければ左もありませんし、左がなければ右もありません。相対する別の一方が存在することによって、もう一方の存在が条件づけられるのです


『素問』陰陽応象大論では
陽気は天と為り、陰気は地となる。地気(陰)は上りて雲と為り、天気(陽)は下りて雨と為る。」とあります。


陰で下にあるはずの地の気が上にのぼって雲になり、陽で上にあるはずの天の気が下にくだって雨になるという矛盾した事象が起こっています。しかし、これこそが陰陽相互の対立であり統一であって、宇宙の全てはこの矛盾した運動の結果であり、全ての本質は陰陽という二気の対立と統一によるものです。

また、あらゆる事象に陰と陽の二つの面があるばかりではなく、陰と陽の中にもまたそれぞれに陰と陽があります。例えば、昼は陽で夜は陰ですが、昼の中にも陽中の陰と陽中の陽があり、夜の中にも陰中の陰と陰中の陽があります。

陰陽の消長と平衡

陰陽の対立と相互依存の関係は、静止した不変の状態でではなく、相互に対抗し、相互に作用し合って、常に不断の運動変化の中で行われています。これを「消長平衡」といい、陰と陽の平衡が静止的、絶対的なものではなく、「陰消陽長」と「陽消陰長」の中で相対的な平衡を維持しているということです。

陰陽の間には相互制約の作用があるので、陰陽の変化に偏盛偏衰の現象が出ないようになっています。なので陰陽の消長の変化はあっても、一定の限度を越える事はなく相対平衡の範囲内で維持されています。


例えば、四季の変化です。
冬から春、春から夏に連れ、気候は寒冷から暑さに向かっていきます。これは「陰消陽長」の過程です。また、夏から秋、秋から冬になるにつれて、気候は暑さから寒冷に転じて行きます。これは「陽消陰長」の過程です。しかし、一年を通してみれば、気候は相対的に暑さ寒さで平衡がはかられています。

陰陽の相互転化

陰陽の相互転化は「」の段階で起こります。
つまり、「物極まれば必ず反す」で、陰陽も一定の条件下ではそれぞれが正反対の方向に転化することがあります。


『霊枢』論疾診尺篇では
「四時の変、寒暑の勝は、重陰は必ず陽なり、重陽は必ず陰なり。故に陰は寒を主り、陽は熱を主る。故に寒甚だしければ熱し、熱甚しければ寒す。故に曰く、寒は熱を生じ、熱は寒を生ず。これ陰陽の変なり。」とあり、

『素問』陰陽応象大論篇では
「寒極まれば熱を生じ、熱極まれば寒を生ず」とあります。


つまり、転化の条件とは「重」「極」であり、「陰」に「重」という条件があると「陽」に転化し、「陽」に「重」という条件があると「陰」に転化します。

最後に

万物全ては陰陽に分けられると言いましたが、もちろん人体にも陰陽があります。


人体の陰の部分は
胸・お腹・五臓・体内蔵器・下半身


人体の陽の部分は
手足・顔面・上半身・六腑・背中


人が四つん這いになった時に日の当たる部分を陽、日の当たらない部分を陰とされています。


また、鍼灸では人体の部分的なものではなく、体全体における陰陽のバランスをみていきます。人は健康な時は体内の陰陽のバランスがうまく保たれていますが、そのバランスが崩れると健康が損なわれます。例えば、陽が旺盛で陰が衰退している場合は身体が熱っぽくなったり、逆に陰が旺盛で陽が衰退している時は身体が冷え、病気になりやすくなります。


このように、鍼灸では人の体を診る時、陰陽論を取り入れています。
(厳密に言えば、陰陽五行説を取り入れています。五行説については別のブログでご説明します。)


奥が深い鍼灸の世界、是非、ご興味を持っていただけたら嬉しいです。

参考文献
『東洋医学概論』医道の日本社
『漢方医学概論』中国漢方
『東洋医学の教科書』ナツメ社

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