こんにちは。
こんな話を聞いたことありませんか?
逆子治療で足の小指にお灸をしたら逆子が治った。
痔を患っていたけれど、腕のツボに鍼灸をしたら痔が改善した。
今回のブログでは、
「なぜ足や腕にした刺激が、お腹やお尻に効果があるのか?」
についてお伝えしていこうと思います。
ツボについて
そもそも「ツボ」というものは何なのかということについては、「ツボってなに?」という記事で解説していますので、そちらを読んでみて下さい。
早く言ってしまえば、気が出入りしている場所で、病気の反応点であり、診断点であり、治療点です。
経絡について
経は「縦糸」を意味していて、人体を縦に走る経絡のことを表しており、それを「経脈」と言っています。
絡は「つながる」「まとう」を意味していて、経脈と経脈をつなぐ役割をしているので「絡脈」と言っています。
この縦の走行と横の走行を合わせて経絡と呼んでいます。
経絡は「気」「血」の通り道であり、人体には正経十二経脈、奇経八脈、十二経別、十五大絡などと呼ばれる経絡があります。
しかし、名前のついていない孫絡や細絡などもあり、人間を血管だけにすると人の形ができるのと同じように、経絡も目には見えませんが、体のすみずみにまで広がっており、内臓・皮膚・筋肉・頭など体の全てとつながっています。
ですから、体の不調は経絡上に現れてきます。その不調を読み取り、その経絡上にあるツボを用いて施術をするのが鍼灸師です。
経脈について
ここでまず、経脈の流れについて見ていきたいと思います。
経絡の中でも特に主要な十四本の経脈があります。
- 督脈
- 任脈
- 手の太陰肺経
- 手の陽明大腸経
- 足の陽明胃経
- 足の太陰脾経
- 手の少陰心経
- 手の太陽小腸経
- 足の太陽膀胱経
- 足の少陰腎経
- 手の厥陰心包経
- 手の少陽三焦経
- 足の少陽胆経
- 足の厥陰肝経
そして、これらは手の太陰肺経を始めとして、下記のように流れていきます。
これを見てお気づきかと思いますが、督脈・任脈以外の経脈は全て臓器の名前がついています。
臓器の名前がついている経脈は、体内でその臓器とつながっています。
また、肺ー大腸、脾ー胃、心ー小腸、腎臓ー膀胱、心包ー三焦、肝ー胆は
表と裏、陰と陽の関係にあり、これらの経脈もまた体内で繋がり合っています。
例えば、肺経は肺も通りますが大腸も通ります。同じく、大腸経も大腸も通りますが肺も通ります。
このように、図の横同士(例えば、肺経と大腸経、脾経と胃経など)は深いつながりがあります。
逆子治療について
では、ここで逆子治療に使われるツボについて考えていきたいと思います。
逆子治療で使われるツボは、膀胱経の「至陰(しいん)」です。
これは足の小指にあります。
では、なぜここにお灸をすることで逆子が治ることがあるのでしょうか?
上記の経脈の流れをもう一度見てみると、膀胱経の隣には「腎経」があります。上記でもお伝えしましたが、横同士は表と裏、陰と陽の関係があり、非常に深いつながりがあります。
「腎経」は生殖と深く関わる経脈で、「至陰」で起こり、足の裏の「湧泉(ゆうせん)」というツボから始まり、足の内側後ろ側から股の内側を通り、お腹に入って鎖骨にある「兪府(ゆふ)」というツボで終わります。
経脈の流れからもわかるように、腎経は生殖器付近を通ります。
ですから、至陰を刺激することで、腎経から子宮に影響がいき、逆子が治ると考えられます。
また、腎経は「衝脈(しょうみゃく)」(奇経八脈の一つ)とも関係が深く、衝脈の始まりは子宮です。ですから、腎経の始まりである至陰を刺激することで、衝脈も刺激され、衝脈の始まりである子宮にも影響がいくとも考えられます。
他にも子宮から始まる任脈や督脈との関係も考えられます。
患部と遠く離れた部位にあるツボに刺激をすることは、一見、患部に何の影響もないように見えますが、体の中は経絡でつながっているため、見えないところで大きな影響を与えているということです。
痔には腕のツボを使うことについて
痔には肺経にある「孔最(こうさい)」というツボを使用します。
腕にあるツボがどうしてお尻に影響を与えるのでしょうか?
もうお分かりですね!
これも逆子のツボの時と同じ理由です。
経脈の流れを見て見ますと、肺経の隣には大腸経があります。肺経は肺と大腸を通ります。
肺経のツボを刺激することで、肺経と深いつながりのある大腸経にも刺激がいき、お尻に影響するという訳です。
どうしてそのツボなの?他のツボじゃダメなの?
「経絡が繋がっているなら、その経脈にあるツボなら全部効果あるんじゃないの?」と思うかもしれません。
ただ、東洋医学は経験から生まれてきた学問です。
何千年という長い歴史の中で、多くの人々の経験の中から、「このツボはここに効く!」と発見されてきました。
ですから、同じ肺経の中でもお尻に効かないツボもありますし、孔最のように効果のあるツボもある訳です。
全てのツボの効果が経絡の流れの関係で説明できる訳ではありません。
理屈抜きで、「なぜかわからないけど、このツボがここに効く!」というものがたくさんあります。
例えば、手の親指の第一関節が目に効果があったり、手の甲の骨の間に腰痛に効くツボがあったり・・・。
でも、だからこそ、東洋医学って、不思議で面白いんですよね!
今回の記事は動画にもしていますので、そちらの方も是非、観て下さい。