正経十二経脈
「経絡」とは気血の通り道のことで、経絡の中でも主体となっているのが『正経十二経脈』です。
まずは、その正経十二経脈の流れから見ていきましょう。
気血は経絡を通って、昼夜、身体中を巡っています。
その気血は中焦で作られ、一番最初に送り込まれるのが肺経です。
気血は肺から全身を巡って、また肺に戻っていきます。
今回は9番目と10番目の経脈である『心包経』と『三焦経』についてみていきます!
心包と三焦
「心包」とは
心包とは、心臓の「心膜」のことであると言われています。
以前、「東洋医学からみる心臓の働き」という動画でお伝えしたように、「心」は生命に最も重要な「神(しん)」を蔵していて、「神」がなくなれば人は死んでしまうと言われています。
そして、心は五臓六腑を統括するという君主の役割があります。そんな心が内外の邪によって滅多なことで損傷されないよう外衛となって心を守っているのが心包です。
「三焦」とは
三焦とは特定の器官のことではなく、消化吸収、気血津液の配布、水分代謝を円滑に行わせる一連の機能のことを指していると言われています。
上焦・中焦・下焦の三つに分けられているので三焦と言われています。
上焦は横隔膜から上部の機能を指します。ですから、心肺と関係が深いです。
中焦は横隔膜から臍の間の機能を指します。ですから、脾胃と関係が深いです。
下焦は臍から下部の機能を指します。ですから、小腸・大腸・腎臓・膀胱と関係が深いです。
心包経の流注
「流注」とは経脈の流れのことを言います。
手の厥陰心包経は、足の少陰腎経の脈気を受けて胸中に起こり、心包に属し、横隔膜を貫いて三焦を絡います。
その支脈は胸にある天池をめぐって腋窩に至り、上腕前面にある天泉を経て、肘窩にある曲沢に入ります。
さらに前腕前面にある郄門・間使・内関・大陵を経て、手掌にある労宮を通ります。
労宮から第3指先端中央の中衝に終わります。
また、労宮から別れた支脈は、第4指内側端の関衝に至り、次の経脈である手の少陽三焦経につながります
三焦経の流注
手の少陽三焦経は、手の厥陰心包経の脈気を受けて第4指内側端の関衝から起こり、手背にある液門・中渚を経て、上って手関節背側のほぼ中央にある陽池をめぐって、前腕後面にある外関に行きます。
外関から支溝・会宗・三陽絡・四瀆を経て、肘頭にある天井に至ります。
天井から更に上腕後面にある清冷淵・消濼・臑会を上って肩髎に至ります。
肩髎から小腸経の肩貞・秉風を経て、天髎に上り、胆経の肩井を過ぎて鎖骨上窩に入ります。
胃経の欠盆を過ぎて下行し、任脈の膻中に会い、胸中より広がり心包を絡い、横隔膜を貫いて下り、三焦に属します。
胸中から分かれた支脈は、膻中から上って大鎖骨上窩にある欠盆に出ます。
欠盆からさらに上って、督脈の大椎に会い、側頭部に上って天牖に行きます。
天牖から耳の後ろに至って翳風・瘈脈・顱息・角孫を経て、側頭窩にある胆経の懸顱・頷厭を経て、そこで屈曲して頬に下り、小腸経の顴髎に至ります。
耳の下で分かれた支脈は、翳風から耳の中に入り、耳前の小腸経の聴宮に出て、耳門・和髎を経て、胆経の上関の前を過ぎ、頬に交わって目の外眼角にある胆経の瞳子髎に至り、糸竹空で三焦経は終わります。
心包経の病証
心包経が病むと次のような症状が現れることがあります。
手のほてり、腕のひきつり、脇下の腫れ、動悸、胸苦しさ、顔が赤く眼が黄色になるなどです。
三焦経の病証
三焦経が病むと次のような症状が現れることがあります。
耳鳴り、難聴、喉の腫れ、汗が多く出る、手の第4指の麻痺などです。
心包経の経穴(ツボ)
「経穴」とは一般的に「ツボ」と呼ばれているもののことです。
心包経の経穴は全部で9穴あります。その中のいくつかの経穴をご紹介します。
曲沢(きょくたく)
【位置】
肘前面の肘にできるしわ(肘窩横紋)の上で、上腕二頭筋内方の陥凹部にあります。
【効果】
咳嗽、肘の関節炎、肘のリウマチ、心痛、心悸、熱病、胃痛、嘔吐などに効果があります。
大陵(だいりょう)
【位置】
手関節前面で長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間の手関節掌側横紋上にあります。簡単に言いますと、手と手首の境にある大きな横シワの大体真ん中付近です。
【効果】
心臓疾患の主治穴です。手根関節炎、リウマチ、半身不随、手指の痺れ、ばね指、心痛、心悸、胃痛、嘔吐、不眠など。
内関(ないかん)
【位置】
前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間で手関節掌側横紋の上方2寸にあります。拳を強めに握った時に手首付近に出てくる腱の間で、手首の太いシワから親指2本分上にあります。1寸が親指一本分です。
【効果】
手根関節炎、リウマチ、心悸亢進、精神安定、心痛、心悸、悪心、嘔吐、不眠など
三焦経の経穴
三焦経の経穴は全部で23穴あります。その中のいくつかをご紹介します。
陽池(ようち)
【位置】
手関節後面、総指伸筋腱の尺側陥凹部で手関節背側横紋上にあります。
【効果】
この経穴は三焦の停滞を通ずることを主ります。また、子宮の位置不正を矯正したり、妊婦の嘔吐を止めたりします。他には手根関節炎やリウマチ、上肢の神経痛など
外関(がいかん)
【位置】
前腕後面、橈骨と尺骨の骨の間の中点で、手関節背側横紋の上方2寸です。
【効果】
腱鞘炎や腕関節の痛み、手指の痛み、頭痛、頬の痛み、耳鳴りなど
和髎(わりょう)
【位置】
頭部のもみあげの後方で、耳介の付け根の前方、浅側頭動脈の後方
【効果】
眼疾患を主ります。眼病全てに効きます。
動画
上記の内容を動画にまとめたものもありますので、そちらもご視聴ください。
流注は動画の方がとても分かりやすいと思います!
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