この本について
この本は静岡県伊豆半島にある「ふるさと村」という完全自給自足の「食養」を目的とする「自然食養学会」という施設を営む、秋山龍三さんが書いた本です。
「ふるさと村」には、病院で見放されたり、様々な不調に苦しみ悩んだりした人達が訪れ、何をやっても治らなかった症状や病が「食を正す」ことで改善していき、「健康」を取り戻した事例がいくつもあるようです。
秋山さんは言います、「正しい本物の食事をとれば、自分がもともと持っている自然治癒力が目覚め、健康な体を取り戻すことができる」と。
私はこの本を読んで「本物の食事」というものを知りました。
私が健康に良いと思ってスーパーで買っていた食品の中には、
実は本物がほとんどなかったからです。衝撃でした。
この本は、
・生きるために口にするはずの食べ物が、最近は危険なものになっていること
・本物の食事とはどんな物なのか
・健康体になる食養生活方法
を教えてくれます。
肉・魚を食べなくても元気
著者の祖母という人は江戸時代生まれだったそうで、92歳まで病気知らずで、白髪も少なく、記憶力も良く、「民間療法の達人」で、村人たちは体の具合が悪いと著者の祖母を訪ねていたそうです。そして、祖母の家の納屋には、梅酢、ぬか漬け、自家製味噌、梅干し、柿酢、どくだみ茶などの瓶や樽などがあって、それらを体調の悪い人に薬のようにあげていたとのことです。
そんな江戸時代生まれの祖母は「生涯、肉や魚を食べなかった」そうです。
最近私は精進料理にも興味があるのですが、精進料理も一切の動物性のものは使用しません。以前、テレビで精進料理について放送していて、お坊さんになる人は一定期間修行のためにお寺にこもって数ヶ月間精進料理だけを食べるそうですが、あるアレルギー持ちの見習い僧は、精進料理だけの毎日を送ることでアレルギーが治ったと言っていました。
現代の栄養学は動物性たんぱくを摂ることの必要性を訴えていますが、昔の人達は今ほど肉を食べていませんでした。それなのに体力は今の現代人よりも何倍もありました。
本の中で、あるドイツ人医師が日本人の体力に驚愕した話が書かれています。日本人は肉を食べず、玄米のおにぎりと梅干しと漬物しか食べてないのに、人力車の車夫の1日の平均走行距離は約50kmだったそうです。
肉を食べていないのにこのスタミナならば、肉を食べさせたらもっとすごいパワーを出せるはずだと考えたドイツ人の医者は、二人の車夫に肉食中心の食事をとらせたところ、3日目には疲労困憊で全く走ることができなくなったそうです。
今の日本人に必要なのは、昔の日本人の食事を取り戻すことなのかもしれませんね。そして、1日2食の一汁三菜の精進料理や少食・粗食が健康のもとなのですね。
本物の食品
醤油
この本を読んで知ったのですが、安い醤油は大豆から油を絞った残りカスの「脱脂加工大豆」というもので作られていて、強制的に発酵させているので、天然発酵・熟成をした醤油と違って旨味に欠けるので、化学調味料などの添加物を入れているようです。
しかも、脱脂加工大豆をとるために、大豆から油を絞る際にも、圧搾して油をとるのではなく、薬品を使って脂肪を分離させているので、溶剤が残存している可能性もあるようです。
今後、醤油を購入する際には必ず原材料のラベルを確認しましょう。
「脱脂加工大豆」と書かれている醤油は買わず、「大豆、小麦、塩」とだけ書かれてあるものを選びましょう。でも、できれば伝統的な醸造方法でじっくり熟成させたものを選ぶと良いようです。
味噌
昔の味噌の熟成期間は1年から3年程度でした。しかし、現代は効率が最優先の製法で造られる「速醸味噌」と言って、加熱して無理やり麹の働きを活発にし、わずか20日くらいで造る味噌が一般的になったようです。
この速醸味噌には、殺菌や長期保存、変質変色防止や風味づけのために、たくさんの添加物が使われているので、生きた酵母は含まれていません。「無添加味噌」と書かれている味噌でも、食品添加物が使用されていなければ、速醸味噌であってもそのように表示されているようです。
「生味噌」という表記があれば、それは調整処理されていない酵母が生きている味噌なので、味噌を買う時も原料などをしっかり確認して、「国産大豆」「国産米」を使った「天然醸造・長期熟成」の「無添加生味噌」を選ぶと良いです。
梅干し
梅干しの力
①殺菌力があるので、保存を助け、病を防ぎます。
②丈夫な骨をつくり、消化を助けます。
③疲れない体をつくります。
しかし、スーパーなどで売られている梅干しのほとんどは「梅干しもどき」であって、本物の梅干しではないとのことです。伝統的製法によって造られた梅干しを「梅干し」と言い、はちみつ梅のような加工品は「調味梅干し」と呼ばれています。スーパーなどで売られている梅干しはほとんどが「調味梅干し」です。
調味梅の原料の多くは塩漬けされた輸入品の梅で、輸入された梅は水に漬けて「塩出し」をしますが、その際にクエン酸などの薬効成分も溶け出してしまいます。更に、酸味料、甘味料、アミノ酸、保存料が加えられています。
こうして造られる調味梅の賞味期限はせいぜい6ヶ月ですが、本物の梅は100年ももつそうです!
梅干しも、購入する時にはパッケージの裏を見て、「梅干し」と表記のあることを確認してから購入しましょう。
砂糖
白砂糖はサトウキビなどを精製してつくるのですが、精製する過程で様々な化学薬品を大量に使用し、本来のサトウキビに含まれているビタミンやミネラルなどの栄養素も失われます。
そして、砂糖(ショ糖)が体内で分解される時には体内のカルシウムが使われ、尿とともに排泄されます。この時、使われるのは骨や歯、筋肉などにあるカルシウムです。ですから、砂糖と食べると体内のカルシウムが失われるということです。
ですから、食養では基本的に砂糖は使わないようです。
ただ、どうしても砂糖を使う場合は、白砂糖ではなく「黒砂糖」を使用すると良いとのことでした。
健康になりたければ、砂糖を断つことは必須のようです。
この本でも甘いものを食べない方が良い理由が書かれていますので、
読んでみてください。
すべての病気や不調は汚れた血液から始まる
東洋医学では「気」があるから人は生きていると考えられています。
その「気」というものには、両親から受けついだ「先天の気」と飲食物から作られる「後天の気」があります。「先天の気」の量は生まれてすぐが最大の状態で、それ以降は減る一方になります。ですから、減っていく分を「後天の気」で補っているのです。
飲食物から作られた「後天の気」はその後は血液・津液となり気と一緒に全身に運ばれていきます。ですから、飲食物にちゃんとしたエネルギーがなければ、まともな「気」は作られず、それはつまりまともな血液も作られないということになります。
この本でも「正しい食べ物は健康な血液を作り、血液を汚しやすい食べ物を食べれば、血液は酸化し、全ての病気の原因となる」と述べています。
ですから、本気で健康になりたい人は、まずは食べる物を変え、食べる量を減らしていくことです。そうすると、必ず体は変化していきます。
この本の「ふるさと村」では、完全無農薬、無添加の自給食材を中心とした玄米菜食に、澄んだ空気、自然の湧水を飲食し、血液の酸化を防ぎ、病気やアレルギーの体を「健康」に戻すお手伝いをしているとのことでした。
この本には他にも、塩・果物・漬物・海藻・菌類・乾物・魚介類・茶・食養法・病気が改善した事例などなど、たくさんの情報が書かれています。
今回ご紹介した内容は、この本のほんの一部に過ぎません。
「食」がいかに大切か
どんな食生活をすると良いのか
を教えてくれます。