こんにちは。
前回は「経絡」についてお伝えしました。
まだ前回の記事を読んでいない方は最初にそちらを読んでください!
「経絡ってなに?」(前回の記事)
今回は正経十二経脈の中の「手の太陰肺経」についてです。
正経十二経脈
「経絡ってなに?」の記事でお伝えしましたが、
経絡の中で主体となっているのが下に示してある「正経十二経脈」です。
気血は経絡を通って昼夜身体中を巡っています。
気血というものは中焦(脾胃)で作られます。
そして、一番最初に送り込まれるのが「肺」なのです。
気血は肺から全身を巡って、また肺に戻ってきます。
「肺朝百脈(はいちょうひゃくみゃく)」と言われるのは、
「肺は百脈を朝(あつ)める」ということ意味していて、
肺から全身に送られた気血は、全ての経脈によって肺に集められることを意味しています。
肺経の流注(るちゅう)
流注とは経脈の流れのことを言います。
手太陰肺経の経脈の流れを見ていきたいと思います。
中焦から始まり、下に向かって大腸に連絡し、胃口(噴門部)を巡って、横隔膜を貫いて肺に入ります。更に、気管・喉頭を通って前胸部(中府穴・雲門穴)から腋窩に出ます。続いて、上腕前外側(天符穴・挟白穴)、肘窩(尺沢穴)、前腕前外側(孔最穴)、手関節前面横紋外端(太淵穴)、母指球の外側(魚際穴)を経て、母指外側端(少商穴)に終わります。
そして、肺経のあとは大腸経に続くのですが、
それは前腕下部にある列欠穴から別れた支脈が示指外側端(商陽穴)に出て、手の陽明大腸経につながっていきます。
肺経の病証
肺経が病むと次のような病状が出ることがあります。
胸の張り、咳嗽、息切れ、鎖骨上窩の痛み、口渇、肺経上の痛み、手掌のほてり、胸苦しさ など
経穴
手太陰肺経の経穴は全部で11穴あります。
中府(ちゅうふ)・雲門(うんもん)・天符(てんぷ)・挟白(きょうはく)・尺沢(しゃくたく)
孔最(こうさい)・列欠(れっけつ)・経渠(けいきょ)太淵(たいえん)・魚際(ぎょさい)
少商(しょうしょう)です。
この中でも特に主要な経穴をご紹介します。
中府(ちゅうふ)
位置:前胸部、第1肋間と同じ高さ、鎖骨下窩の外側、前正中線の外方6寸
取り方:吊り革につかまるような体勢で腕をあげた時に鎖骨と腕の付近に窪みができます。これを鎖骨下窩と言います。鎖骨から親指一本分下にあります。
中府の「中」とは中焦(脾胃)の気のことを指しています。そして、「府」は集まるの意味があります。つまり、「中府」とは中焦の気が集まるところということになります。
そして、臓腑の経気が集まるところを「募穴」と言い、中府は肺経の募穴になります。
また、中府は肺経の最初の穴であり、手と足の太陰経(足の太陰脾経)が交わる交会穴でもあります。
中府は肺部疾患を治療する常用穴とされています。
尺沢(しゃくたく)
位置:肘前部、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱外方の陥凹部
取り方:力こぶを作るように肘を曲げたとき、肘関節に出てくる筋の外側で、肘を曲げた時にできる線の上に取ります。
主治症:呼吸困難、喘息、胸苦しさ、肺・気管支の病、心臓病、扁桃炎、小便頻数
また、尺沢は腎を補うのに使用されます。
太淵(たいえん)
位置:手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部
取り方:手首の関節の線の親指側で動脈上に取ります。
太淵は肺経の原穴で、原穴とは臓腑の原気が通過あるいは留まる場所のことです。主に経絡の属する臓腑の疾患を診断したり治療したりするのに用います。
原穴は五臓六腑の疾病を主治します。
孔最(こうさい)
位置:前腕前外側、尺沢と太淵を結ぶ線上、手関節掌側紋の上方7寸
取り方:太淵と尺沢を結ぶ線上にあって、尺沢から指4本と親指2本分下に取ります。
主治症:呼吸器疾患や痔疾患などに効果があります。なぜ、痔にも良いのかはこちらの記事をご覧ください。
少商(しょうしょう)
位置:母指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方0.1寸、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。
取り方:母指爪甲根部近位縁に引いた線と橈側縁に引いた線との交点にとります。
主治症:胸が苦しく、胸がつかえていて、食べ物が下がらないような場合に用います。
少商は肺経の最後の経穴になります。
経穴の使い方
これらのツボは軽く押したり、「こりスポット」のような鍼ではなく樹脂のついたもので刺激したり、お灸をすると良いです!
お灸の方法はこちらの記事をご覧ください。
動画
肺経についての動画もあります。
こちらも是非、ご覧ください。