よく「このツボはどこどこに効くよ」などと耳にすることがあると思います。
でも「ツボって何?」と聞かれたら、どう答えるでしょうか?
今回は「ツボ」というものは何なのかということについてお伝えしていきます。
経絡(けいらく)
ツボについて知るには、その前に「経絡」について知らねばなりません。
経絡の「経」は「縦糸」を意味しており、
経絡の「絡」は「つながる」「網状のもの」「すじ」「まとう」を意味しています。
鍼灸ではこの経絡は「経脈」と「絡脈」のことを指しています。
「経脈」は身体を縦に流れる脈のことで、
「絡脈」は経脈から分かれ出た細い脈のことです。
この経脈と絡脈が人体の内(五臓六腑)外(頭・体幹・四肢・体表)を網のように連絡し、
全身に気や血を巡らせ、体を養い生理活動を維持しています。
つまり、経絡とは気血を巡らす通路のことです。
この経絡の経脈上にあるツボを「経穴」と呼び、これは名称があり部位も定まっています。
経脈上にはないけれど、名称があり部位も定まっているのを「奇穴」と言い、
名称も部位も定まっていないけれど病態と深く関わって出現したり、
治療点となる部位を「阿是穴(あぜけつ)」と言います。
そして、これらをまとめて「腧穴(しゅけつ)」と言い、
ツボとはこの腧穴のことを指しています。
腧穴(ツボ)
「経穴」は経脈上のツボのことで、
中国の最古の医学書『黄帝内経ー素問』気穴論篇58には、
「気穴三百六十五、以って一歳に応ず」とあり
「その数は1年の日数と対応して365穴である」と書かれてあるのですが、
世界保健機構(WHO)では361穴と定めています。
「奇穴」は経脈上にないツボのことで、WHOでは48穴と定められています。
「阿是穴」は触られたり、押圧されたりした時に感じる体表の圧痛部や敏感になっている点で、
押して気持ち良いと感じる点や痛みを感じる点のことです。
そして、これらをまとめて「腧穴」と言いますが、
腧穴は「気」が出入りしている穴で、
病的変化が現れる反応点であり、
病気の診断点や治療点にもなります。
ですから、鍼灸ではこの腧穴(ツボ)に鍼やお灸で刺激を与えることで、
気の出入りを改善させ、気血の流れを良くして、
健康維持・改善させていくのです。
経穴や奇穴には一つ一つに名称がついており、位置も定まっています。
効能はそれぞれの穴によって異なっており、病状・脈状などによって使用するツボを使い分けます。
腕にあるツボが痔に効果があったり、親指にあるツボが目に効果があったりと、
ツボの効果・効能は2000年以上の歴史が生み出した産物に他なりません。
鍼灸の世界は本当に奥が深くて楽しいです。
皆様も是非、ツボの知識を身につけることで、
ご自身の健康に役立ててみて下さい。
ツボに鍼を打つのは鍼灸院に行かないとできないと思うので、
まずはご自分の症状に合ったツボを押してみたり、
お灸を据えたりしながら、ツボを生活に取り入れてみて下さい。
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